めまい、動悸、頭痛の更年期障害に対する鍼灸症例 54歳 福岡市早良区
患者様のお悩み
めまい、動悸、頭痛、肩こり、首こり
現在54歳、営業管理職をしている女性です。
半年前から急に首や肩の凝り感がひどくなり、仕事中などに頭がぼぉーとして集中力が低下し、頭の回転が鈍くなったようになります。首や肩こりが酷くなると、めまい、頭痛、動悸が現れるようになります。
めまいは、雲の上を歩いているような感じがしたり、お腹がすきすぎた時のようなフワァーとした感覚が現れます。
頭痛は、頭と首の間やこめかみがギューと締め付けられているように感じます。
動悸は、特に夕方に多く胸元がドクンドクンと響いたように感じ、時に血の気が引いたように息苦しさも感じます。
2ヶ月前に婦人科と脳神経外科に相談したところ、女性ホルモンが低下しているので更年期障害であると言われました。脳の検査もしていただきましたが特に異常はありませんでした。
2ヶ月ほど通院し薬を服用、また、マッサージや整体院にも通いましたが変化がないのでお願いに来ました。
一日も早く不調を治したいのはもちろんですが、仕事柄スタッフに指示をすることが多いのですが、頭の回転が鈍ることが多く仕事に支障がでています。それらを少しでも良くしていきたいです。
東洋医学的な見立て
上記のようなお悩みを初回のカウンセリングで涙ながらにお話しいただきました。
更年期には女性ホルモンの変調によってさまざまな不調が現れます。本当にお辛いですよね。
この不調を良くしていくために、次のような鍼灸治療を行っていきました。
東洋医学的アプローチでは、不調だけをみるのではなく、体と心すべて丸ごと見る必要があります。
この患者様の場合に気になったことは、
・上半身(特に肩と頭)に熱がこもっていて熱い。
・下半身(特に下腹部と足首)が冷たくむくんでいる。
・背中(肩甲骨から腰の上まで)の筋肉がカチカチに硬く凝っている。
・頭のてっぺんの頭皮がブヨブヨとしている。
・お腹の検査でお臍の周りを軽く押してみるとどれも強く痛みを感じる。
上記は更年期症状が現れている患者様によく出ている反応です。
鍼灸治療では、以上のような身体の状態をみて、自律神経や女性ホルモンの大きな乱れ、「気・血・水」の巡りの悪さを見つけていきます。
お仕事柄分単位でミーティングや接客があり、常に対人関係で緊張状態が続いておられるご様子で、交感神経が常に高ぶっておられるようです。
そうすると身体の中の熱が頭にばかりあつまってしまい、反対に足元が冷たくなり、循環が悪くなってむくみを生じます。
頭の熱を冷却させるファンの役割は、リラックスタイムを作り出す副交感神経の働きですが、これが作用しないと、頭がショートして思考力や判断力が低下してしまいます。
よって、鍼灸治療は、
◎女性ホルモンの変調によって生じた自律神経の乱れを整える。
◎頭に集まった熱を散らし、下半身の血流を促進する。
これを体質改善の柱にすえて、各症状に対応していきます。
鍼灸治療
ベッドに仰向けに寝ていただき、左右の足首と左右の肘に計4本の鍼を刺し、10分ほどとどめておきます。
その間に、お腹と頭に刺さらない鍼をしていきます。刺さらない鍼とは、鍼先が丸くなっているため皮膚には刺さらず痛みはまったくありません。自律神経を調節する際によく用いるものです。
※刺さらない鍼については、以下の動画をご覧ください。
先ほど刺した4本の鍼を抜き、うつ伏せに寝ていただきます。
頸、肩、背中の凝りを取りほぐすため、鍼を刺してすぐに抜いてを何度も繰り返していきます。
もう一度仰向けに戻っていただき、頭の熱が摂れていること、足が温まっていること、お腹を軽く押さえても痛みがなくなっていることなどを確認して終了です。
1回の鍼灸治療が約30~45分のお時間です。
この方の場合には、上記の様な鍼灸治療を週に1度の間隔で6回、その後2週に1度の間隔に広げ4回、3週に1度の間隔に広げ4回行いました。(※間隔を広げたのち、2回ほど途中に追加治療があり)
現在では、疲れがたまって肩や首の凝り感や軽い頭痛は感じる程度にまで良くなっています。鍼灸治療前の辛さが10だとすると現在は1~2とのことです。
この症例は2019年1月~5月のものですが、現在でも月に1度メンテナンスとして鍼灸治療を続けておられます。
鍼灸師 綿貫雄二
※これは鍼灸治療が著効を奏した一症例であり、結果には個人差があり、その効果を保証するものではありません。