のぼせ、食欲不振にお困りの40代女性への鍼灸症例
患者様の訴え
のぼせ、食欲不振、温度変化が判らない、動悸、不安感、気力がない
今年の2月ころから暑さや寒さが判らなくなり、頭がぼぉーとのぼせたように熱くなっている。手足は逆に冷たく冷えきっている。
体に力が入らず朝起きることができず、無理やり起きようとすると胸のあたりがムカムカとし出し動悸が始まる。
食欲もなくなり、常に首や肩に錘が乗っているようにズシーンと重い。
内科を受診し血液検査を受けるが特に異常はなく、薬を服用するも良くならない。体の不調が取れないことがとても不安に感じるようになり、気力がなくなってきている。
内科で心療内科を勧められたので受診すると、うつ病と言われたがあまり納得できず、薬も飲んでいない。
鍼灸治療の経過
1回目 2019.3.10
鍼灸治療では現在現れている不調だけにはとらわれず、患者様のお体を全体的に見つめていきます。
「気・血・水」の巡りが良いか悪いかを確認するために、脈をみます。
自律神経や女性ホルモンの乱れを確認するために、お腹の固さや痛みをみます。
この患者様の場合には、自律神経失調の反応が多々あります。また、気の停滞、下半身のむくみ、頭から腹部までの熱感と下腹部から足の冷えというアンバランスがみられます。
今回の治療方針としては、
・自律神経を整える
・気を巡らし、体の水分代謝を高める。
・元気の源である食事が取れるように胃腸の機能を高める。
が重要であると考えました。
2回目 2019.3.17
前回後、食事が取れるようになる。眠りが深くなる。のぼせに変化はなし。
また、鍼をした夜に体のだるさを覚え、なかなか寝付けなかった。
3回目~5回目 2019.3.22~4.13
食事は元気な時と同じくらい取れるようになる。肩の重さが軽くなってきている。のぼせに変化はなし。
6回目 2019.4.22
頭ののぼせがほぼなくなった。
7回目~ 2019.4.26~
日によって波があるが、以前ほどのひどいのぼせはない。しかし、体が疲れたり、仕事のことや家族のことを考えたりすると頭がボーとし出す。
鍼灸師より
今回は、患者様と鍼灸師とのゴール設定がとてもうまくいき、著効を奏した症例であったため、鍼灸治療継続中ではあるが、経過を記しているものです。
私は鍼を刺すまでにとても時間のかかる鍼灸師です。この方の場合には特に時間を要し、初回カウンセリンで60分、体の状態説明に30分、治療は約15分。
食事は体と心を保つエネルギー源ですし、おいしいと感じることは気分を明るくし気力も高めてくれます。
まずは第1段階のゴールとしてそれを設定し、患者様も納得されました。
そして5回の鍼灸治療でほぼほぼ元気だった頃と同じくらいの食事量にまで回復され、おいしさも感じるようになられました。
第2段階へ進みます。
のぼせの鍼灸治療に取り掛かります。6回目の鍼灸治療で一時的にのぼせが消失しました。
患者様は「たった1回の鍼でのぼせがなくなりました!」ととてもお喜びでしたが、そううまくはいかないことを私は長年の臨床経験で知っています。
やはり今回も1週間ほど消失していましたが、そののちストレスがかかることがあった時にのぼせが出てこられたようです。もちろん患者様には事前にお伝えしておりました。
しかし、ぶり返しの程度は下がり、以前起きていたのぼせが10くらいだとすると、現在は3程度です。これもこれからお体を整えていく中で0にしていく必要があります。
今回の症例では、患者様と鍼灸師が同じ目標(ゴール)を共有すること、患者様が自身の体の状態を把握することの大切さを改めて痛感しました。
鍼灸師 綿貫雄二
※鍼灸治療の結果には個人差があります。これらは一症例であり結果を保証するものではありません。