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生理前の「消えてしまいたい」気持ちが楽になった37歳女性の鍼灸症例

患者様のお悩み



生理前の心の不調に苦しんでいた日々


M・Kさんは、生理の約2週間前になると気分が激しく落ち込み、不安感や緊張感に襲われていました。「以前の自分とは違う、生きづらい」と感じる日々。日中は接客業で立ちっぱなしの仕事をこなしていますが、仕事に集中できず、頭が回らなくなり、簡単な作業でもミスをしてしまう自分に自己嫌悪を感じていました。

職場の人やお客様の前では「いつも通り」を演じることはできても、家に帰り夜になると「消えてしまいたい」とまで思い詰めてしまう。そんな二重生活に心が疲弊していました。

漢方やピルを試しても残る重い気分


10代の頃から月経不順、月経過多、月経前の食欲増加に悩んでいたM・Kさん。婦人科で低用量ピルを約2年服用し、さらに去年の4月からは漢方専門の内科に通院し、月経前症候群(PMS)と診断されて漢方薬も飲み始めました。

以前よりは良くなったものの、まだ落ち込みや不安感は強く、普段は生理が来れば気分が晴れるはずなのに、最近は生理中も気が重い状態が続いていました。


身体の不調も重なって


心の不調に加えて、身体にも様々な症状が現れていました。

肩こり、足の冷え、むくみ(特に生理前)、便秘がち、お腹の張り、頭がほてる、寝つきが悪く朝起きるのがつらい、半年ほど前から耳の中が痒く膿や黄色い汁が出ることも

自分で自分を追い詰めてしまう性格


M・Kさんは自分の不調の原因について、こう振り返っていました。

「生活リズムの乱れや、以前繰り返していたダイエットでメンタルが不安定になったと思います。20代後半から『ちゃんとした人にならないと』と強く思うようになり、自分で自分を追い込んでいました。職場や友人と会う時は自分を抑えて、思っていることを発言できず気疲れしてしまう。それを上手く発散できず、自分の中に溜め込んで平気なふりをし続けてしまうんです」

昔はすぐイライラしていた自分をコントロールできるようになった一方で、「優しい穏やかな人になりたい」「こうならなくちゃ」という気持ちが強すぎて、かえって自分を苦しめていたのです。


来院のきっかけと願い


婦人科ではメンタル面については相談しづらく、薬の処方のみで十分な相談ができていなかったM・Kさん。ホームページと口コミを見て、「ここなら心の面もしっかり診てもらえるかも」と期待を込めて、鍼灸は初めてでしたが当院を訪れました。

「このままの生活は続けられない。生理前でも普通に過ごせるようになりたい。自分を追い込まず、もっと楽に生きられるようになりたい」そんな切実な願いを抱いて来院されたのです。




鍼灸師の見立て



初診時の身体と心の状態


M・Kさんが初めて来院されたのは2023年3月、ちょうど生理2週間前のタイミングでした。

問診では、ここ2〜3年で悪化している生理前のメンタル不調について詳しくお話を伺いました。気分の落ち込み、不安感に加えて、身体のむくみや肩こり、足の冷え、便秘やお腹の張りなど、様々な症状が複雑に絡み合っていることがわかりました。


東洋医学から見たM・Kさんの状態


脈診では「緊脈」という、ピンと張った弦のような脈を確認しました。これはストレスや緊張が強く、気(エネルギー)の流れが滞っている状態を示しています。

お腹の診察では、頭頂部(百会というツボ)がぶよぶよとしており、左右の背中の筋肉に凸凹とした緊張の差がありました。これは自律神経の乱れのサインです。

さらに、背中全体を丁寧に触診すると、イライラの反応や気遣いの反応が強く出ていました。M・Kさんが日頃から感情を抑え、周りに気を遣い続けていることが、身体にもはっきりと現れていたのです。


「上熱下寒」という状態


M・Kさんの身体は「上熱下寒」という、上半身は熱がこもり、下半身は冷えている状態になっていました。頭がほてり、足は冷える。これは気や血液の巡りが滞り、エネルギーが上に上がったまま下に降りてこない状態です。

このバランスの崩れが、メンタルの不調や不眠、むくみなどの症状を引き起こしていました。


現代医学的な視点も含めて


M・Kさんの症状は、PMDD(月経前不快気分障害)という、PMSよりも精神症状が重い状態でした。ホルモンバランスの変動が自律神経に大きく影響し、セロトニンなどの脳内物質のバランスも崩れていると考えられました。

また、長年の「自分を抑える」「完璧でなければ」という思考パターンが、心身ともに緊張状態を作り出し、それがホルモンバランスや自律神経の乱れをさらに悪化させる悪循環になっていました。


施術方針


M・Kさんの施術では、以下の3つを軸に進めることにしました。

1. 自律神経を整える – 緊張状態が続いている交感神経を鎮め、副交感神経を働かせてリラックスできる身体に導く

2. 気・血・水の巡りを整える – 特に「上熱下寒」の状態を改善し、上に上がったエネルギーを下に降ろし、全身のバランスを取り戻す

3. ホルモンバランスを整える – 生理周期に合わせた身体のリズムを整え、生理前の急激な変動に身体が対応できるようにする

M・Kさんには極めて細い0.12mmの鍼を使用し、繊細な自律神経の調整を行います。また、温度調節可能なお灸で下半身を温め、冷えを改善していきます。


施術計画


PMDDのような慢性的なホルモンバランスの乱れは、1〜2回では改善しません。身体が本来のリズムを取り戻すには時間が必要です。

最初の3ヶ月は週1回のペースで、まずは自律神経を整え、身体の基盤を作ります。

その後は症状の改善度合いを見ながら、2週間に1回、月1回とペースを調整していきます。特に生理前のタイミングでの施術を重視し、症状が出にくい身体づくりを目指します。

また、施術だけでなく、生活リズムの整え方や、ご自身でできるセルフケアについてもお伝えしていきます。




施術の経過



施術開始〜3ヶ月目(2023年3月〜6月)


1回目
初回の施術では、自律神経を整えることと、上に上がったエネルギーを下に降ろすことを中心に行いました。極めて細い鍼とお灸で、身体全体のバランスを整えていきます。

2回目
前回の施術当日に37.5℃の発熱がありました。これは身体が変化し始めているサインです。生理2週間前のタイミングでしたが、施術を続けました。

3回目
生理中でのご来院。M・Kさんから「いつもより元気に過ごせた」という嬉しい言葉をいただきました。少しずつですが、身体が変化し始めています。

4回目
4月〇日に生理予定とのこと。「調子まあまあ良い」とおっしゃっていました。生理前でも以前ほどの落ち込みがなくなってきました。

5回目
ピルの服用を忘れて少し生理が乱れましたが、生理前なのに不調がありませんでした。販売のお仕事も順調にこなせているとのこと。

4ヶ月目〜6ヶ月目(2023年6月〜8月)


6回目
生理後でしたが、ややモヤモヤ感があるとのこと。それでも以前のような強い落ち込みではなく、自分でコントロールできる範囲になってきました。

7回目
生理前でしたが、不調なし。店長に昇進され、少しイライラすることもあるものの、仕事も充実されている様子でした。この頃から施術のペースを2週間に1回程度に調整していきました。

8回目
不調なし。お仕事での責任も増えましたが、上手く対応できているとのこと。6月27日生理予定でしたが、生理前の症状がほとんど気にならなくなっていました。

その後の経過(2024年10月以降)


2023年11月頃、職場の人の入れ替わりが多く、新しい環境のストレスから、生理に関わらず帰宅時に急に気分が落ち込むことがありました。

2024年3月の来院
環境の変化によるストレスについて施術を継続。

2024年4月
「眠りが落ち着いてきた」との報告。ストレスがあっても、以前より回復が早くなっていました。

2024年5月
生理10日前で気分の落ち込みがありましたが、新しい職場のストレスが原因で、以前のような重症度ではありませんでした。

2024年7月
生理前。恋愛のストレスで気分の落ち込みやイライラがありました。感情の起伏はあるものの、自分で対処できる範囲になっていました。

2024年8月
生理前のむくみがひどく不眠がありましたが、「メンタルはそこまで落ちていない」とのこと。身体の症状はあっても、心は安定してきていました。

2024年8月)
生理前でも大きな不調なく過ごせています。仕事でのストレスや恋愛の悩みなど、人生の波はありますが、「消えてしまいたい」と思うほどの落ち込みはなくなりました。店長としての責任も果たしながら、自分らしく生活できるようになっています。

改善のポイント


約1年半の施術を通じて、M・Kさんの身体と心には大きな変化が現れました。

生理前の激しい気分の落ち込みが軽減、「消えてしまいたい」という気持ちがなくなった、仕事でのミスが減り集中できるようになった、不眠が改善され眠りの質が良くなった、ストレスがあっても回復が早くなった、むくみや冷えなどの身体症状も軽減

完全に症状がなくなったわけではありませんが、「自分でコントロールできる範囲」「普通に生活できるレベル」になったことが、M・Kさんにとって大きな変化でした。




生理前の「消えてしまいたい」気持ちから解放されて、自分らしく生きられるようになりました M・Kさん(37歳・女性・宗像市)


施術を受ける前は、生理の2週間前になると本当につらくて、家に帰ると「消えてしまいたい」とまで思っていました。仕事中は何とか普通を装えても、夜になると涙が出てきて、自分がどうしようもなく情けなく感じていました。

婦人科でピルを処方してもらい、漢方内科にも通っていましたが、薬だけではどうしても限界があって。ホームページを見て、「ここなら心の部分も診てもらえるかも」と期待して来院しました。

初めての鍼灸で緊張していましたが、綿貫先生がとても丁寧に話を聞いてくださって、「自分を抑えてきたこと」「完璧でなきゃと思ってきたこと」を受け止めてくださったことが、すごく嬉しかったです。カウンセリングの時、思わず涙が出てしまいました。

施術は痛くなくて、細い鍼と温かいお灸がとても心地よかったです。3回目の施術の後、生理中なのに「いつもより元気」と感じた時は、「あれ、これは変化かも」と思いました。

通い始めて3ヶ月くらいで、生理前でも以前のような激しい落ち込みがなくなってきて、半年くらい経った頃には「不調なし」と言える日が増えていきました。

今でも仕事のストレスや、人生の悩みはあります。生理前にむくんだり、気分が少し落ち込むこともあります。でも、「消えてしまいたい」とは思わなくなりました。簡単な仕事でミスをして自己嫌悪に陥ることもなくなりました。

何より、「こうならなきゃ」と自分を追い込まなくなって、もっと楽に生きられるようになったことが一番の変化です。店長になって責任も増えましたが、以前よりずっと自分らしく働けています。

鍼灸を始めて本当に良かったです。薬だけでは届かなかった部分を、身体と心の両面から整えてもらえたことに感謝しています。同じように悩んでいる方がいたら、ぜひ一度相談してみてほしいです。

※このご感想はあくまで患者様個人のご感想であり、鍼灸施術の効果を保証するものではありません。




鍼灸師より一言



M・Kさん、約1年半、本当によく頑張ってこられましたね。

初めてお会いした時、あなたが「消えてしまいたい」という言葉を口にされた時のことを、今でもはっきりと覚えています。職場では笑顔で接客をこなし、周りには何も悟られないように必死に頑張っている。でも家に帰ると、押し殺してきた感情が溢れ出して、自分ではどうすることもできない。そんな二重生活に、あなたは本当に疲れ切っておられました。

カウンセリングの中で、あなたがポロポロと涙を流しながら話してくださったことが、とても印象に残っています。「ちゃんとした大人にならなきゃ」「優しい穏やかな人にならなきゃ」「みんなに気を遣わなきゃ」。そうやって、ずっとずっと自分を押し殺してきた。その頑張りが、どれだけあなたの心と身体を疲れさせていたことでしょう。

PMDDという病名がついていても、それはあなたの「弱さ」ではありません。むしろ、これまで誰よりも頑張ってきた証なのです。あなたの身体は、「もう限界だよ、少し休もうよ」とサインを出していたのだと思います。

施術を重ねる中で、あなたの身体は少しずつ変化していきました。緊張でピンと張っていた脈が柔らかくなり、冷えていた足が温かくなり、ぶよぶよしていた頭頂部がしっかりしてきました。それは、あなたの身体が本来の力を取り戻していく過程でした。

「完璧でなくていい。そのままのあなたで十分に素晴らしい」

これは私が、PMDDで苦しむすべての女性にお伝えしたい言葉です。

M・Kさん、あなたは今、店長として責任ある立場で働きながら、自分らしく生きておられます。時には落ち込むこともあるでしょう。でも、それは人間として当たり前のことです。大切なのは、その感情を否定せず、「今はこういう時期なんだ」と受け入れられるようになったことです。

これからも人生の波はあるでしょう。恋愛で悩むこともあるかもしれません。仕事でストレスを感じることもあるでしょう。でも、あなたにはもう、自分を立て直す力があります。そして、つらい時には、いつでもここに帰ってきてください。

あなたの笑顔が増えていくこと、それが私たち鍼灸師にとって一番の喜びです。

これからも、あなたらしい人生を歩んでいってくださいね。

鍼灸院あんどむ 鍼灸師 綿貫雄二

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