院長ブログ

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食後に血の気が引く原因不明の不調に悩む40代女性への鍼灸症例

患者様のお悩み



「食後に血の気が引くような感覚があり、寒気や息苦しさに襲われる」──それがAさん(須恵町在住・40代女性)のお悩みでした。

最初に症状が強く出たのは、突然の心拍数の上昇で救急搬送されたことがきっかけ。その後、循環器内科で不整脈の検査を受けましたが、検査結果は「異常なし」。それでも症状は続き、心臓まわりの不快感、手足のピリピリ、息苦しさ、そして食後や排便の前後に訪れる“血の気が引く”ような感覚に怯える日々。服薬に頼らざるを得ない状況に、不安感がどんどん大きくなっていったといいます。

特に「またあの感覚が来るのではないか」という恐怖から、食事を楽しむことすらできなくなり、さらに冷えや寒気、不正出血を伴う生理不順など、体のバランスも崩れていきました。

病院では、「ストレス耐性が弱い」と言われ、自分を責める気持ちもあったそうです。加えて、ペットとの別れ、そしてお父様のご逝去といった大きな心の出来事が重なり、体と心のバランスはさらに乱れていきました。

「このままでは、普通の生活すら難しくなるかもしれない…」

そんな不安から、紹介で当院にご相談いただきました。

ご本人の願いは、「薬に頼らず、波があっても自分の力で回復できる身体と心を取り戻したい」というもの。そして、「普通にご飯を食べて、家族と一緒に過ごす時間を穏やかに楽しみたい」とお話されていました。

鍼灸院に来られた際も、「怖い施術は避けたい」「まずは話をしっかり聞いてもらいたい」というご要望がありました。そこで当院では、まず丁寧にお話を伺い、体の状態をじっくりと見極め、なるべく刺激の少ない施術を心がける方針でスタートしました。



鍼灸師の見たて



Aさんのお話とお身体の反応を丁寧に確認させていただいたところ、心身ともにかなり強い緊張状態が続いており、「交感神経の過剰な高ぶり」が根本にあると見立てました。

東洋医学的に見ると、Aさんは「気(エネルギー)」の巡りが滞りやすく、特にストレスや心配事が多くなると気が上に昇ってしまう「気逆(きぎゃく)」の状態になりやすい体質でした。その結果、動悸や息苦しさ、血の気が引くような感覚といった自律神経の乱れによる症状が出ていたと考えられます。

また、脈は沈み、細く、弱々しく、触診ではお腹の冷えとガチガチな緊張感、背中のコリも強く感じられました。これは長年のストレスの蓄積が身体の深部にまで影響を与えている証拠です。Aさん自身も「昔から朝は弱かった」とお話されていたように、体内時計のズレも不調の要因とみられました。

当院では、まずは乱れた自律神経を整える「全身施術」を行い、心身がリラックスできる土台を作ることから始めました。同時に、Aさんのような繊細なお身体には刺激の少ない、細い鍼と温度調節のできるお灸を用い、安全で心地よい施術を心がけています。

施術の目安としては、最初の1~2ヶ月は週1回を目安に通っていただき、その後は体調の波を見ながら2週間に1回、最終的には月1回のメンテナンスを目指していくことを提案しました。特にAさんの場合は、少しずつ心と体の信頼関係を築いていくことが大切でしたので、「焦らず、でも着実に」をキーワードに、段階的に進めていきました。



施術の経過



Aさんの施術は、まず「安心して身体を預けられる時間」を作ることから始まりました。初回の施術後には、「薬を使わずに過ごせた」と少しずつ変化が見られ、Aさんも驚かれていました。

2回目、3回目と続けるうちに、食後の「血の気が引くような感覚」が出る頻度が徐々に減少。寒気や背中のゾワゾワ感も軽減されていきました。

その後も体調には波があり、特に疲労やストレスが強くかかったときには症状がぶり返すこともありましたが、施術のたびに「今回はここが気になる」とご本人が自覚できるようになり、ご自身の体の声を聞けるようになっていったのも大きな進歩でした。

季節の変わり目やご家族の出来事(お父様のご入院や学校行事など)で調子を崩すこともありましたが、施術を継続することで「深呼吸ができるようになった」「発作が起きそうな時に、何とか自分でやり過ごせるようになった」と、少しずつ“自分で整える力”が育っていきました。

とくに中盤以降は、睡眠の質にも変化が現れ、「数時間まとまって眠れた」「中途覚醒が減ってきた」との報告を受けました。呼吸が浅くなっていた時期には、首や背中の筋緊張をゆるめ、ツボを活用することで呼吸の深さをサポートし、不安感にも対処しました。

Aさんは「今回は大丈夫だった」と笑顔で話される回数が増え、心療内科での処方も見直され、頓服薬をうまく使いながら日常生活を維持されています。

施術終盤では、不調の出現頻度が月に数回程度となり、生活の中でセルフケア(呼吸法やお灸)も実践されるように。現在もメンテナンスとして月1~2回のペースで通院を継続されています。



食事の時間が少しずつ楽しめるようになりました 須恵町 40代女性



初めて鍼灸院に通うきっかけになったのは、「また血の気が引いたらどうしよう」という不安で、ご飯を食べることすら怖くなってしまったことでした。

病院では「異常なし」と言われても、実際に起きている体のつらさは消えないし、ストレスのせいだと言われると、なんだか責められているような気もして…。そんな時に、知人から「あそこはちゃんと話を聞いてくれるよ」と紹介されてこちらに来ました。

最初のカウンセリングで、先生がじっくり話を聞いてくださって、「大丈夫、あなたの体はがんばりすぎているだけです」と言ってもらえた時、涙が止まりませんでした。

鍼は初めてだったので怖かったのですが、「細い鍼で、痛みはほとんどありませんよ」と丁寧に説明してくださって、安心して受けることができました。施術中も静かで、あたたかいお灸が気持ちよくて、終わった後は心も体もふっと軽くなったように感じました。

もちろん、すぐに全部の不調がなくなったわけではありません。でも、少しずつ「今日は大丈夫だった」と思える日が増えて、今では発作のようなものが起きても「どうにかなる」と思えるようになってきました。

「鍼灸でここまで変わるんだ」と思える体験を、たくさんの人に伝えたいです。今では家族との時間や、ごはんの時間も少しずつ楽しめるようになってきました。本当にありがとうございました。

※このご感想はあくまで患者様個人のご感想であり、鍼灸施術の効果を保証するものではありません。



鍼灸師より一言



Aさんが初めて当院に来られたとき、表情には緊張と不安がにじんでいました。「またあの感じが来たらどうしよう」「いつになったら普通の毎日に戻れるんだろう」——そんな思いをずっと抱えてこられたのだと思います。

でも、Aさんは本当に真面目で優しく、そしてご自身の体にとても誠実な方でした。体の声を感じ取り、素直に伝えてくださることで、こちらも一つひとつ丁寧に施術を組み立てることができました。

症状が強く出たときにはご不安も大きかったと思いますが、「今回はここが気になる」「でも、少し楽な時間もあった」と、ご自身の中にある小さな回復の芽を見つけられるようになっていったことが、何よりも素晴らしい変化でした。

施術は、魔法のようにすぐにすべてを変えるものではありません。ただ、Aさんのように“回復する力”をきちんと持っている方が、それを引き出してあげることで、本来の自分に戻っていけるお手伝いができます。

これからも、体調に波があるかもしれません。それでも、「あのときのように自分を信じて、整えていけば大丈夫」と思える心の支えを、ここで感じていただけたら嬉しく思います。

「あなたの不調は、あなたのせいではありません。がんばりすぎた心と体が、少し休みたがっているだけです。」

この言葉を、今つらさを感じている方へも、そっと届けたいと思います。

鍼灸師 綿貫雄二

所在地〒813-0013 福岡市東区香椎駅前3-5-19 諸岡ビル1F
tel092-672-3925(日曜・祝日 休 駐車場2台)

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