年のせいと言われた倦怠感・肩こり・頭痛への鍼灸症例
こんにちは、鍼灸師の綿貫です。
「年齢のせいだから仕方ない」
そうやって、毎日の不調をなんとなくやり過ごしていませんか?
今回ご紹介するのは、福岡市東区在住の50代女性T・Mさんのケースです。
首や肩のつらさ、むくみ、だるさ、頭痛、不眠…。
いつもどこかが重だるく、でも病院では「異常なし」と言われてしまう。
そんな状態が数年続いていたといいます。
このブログでは、T・Mさんが当院の鍼灸施術を通じて少しずつご自身の身体と向き合い、
日常の中で「自分らしく過ごせる時間」を取り戻していった過程をご紹介します。
今、不調を抱えている方にとって「自分にも当てはまるかも」と感じていただける内容かもしれません。
ぜひ、最後までご覧ください。
患者様のお悩み
T・Mさん(50歳・福岡市東区在住)は、ここ数年にわたって「なんとなくしんどい」という、日常生活に支障が出るほどではないけれど続く不調を感じてこられました。特に首や肩のこり、後頭部の頭痛、むくみやだるさといった症状が繰り返し起こり、ご本人にとっては「不調があるのが当たり前」という感覚が当たり前になってしまっていたようです。
とくに辛いのは、右側の肩こりや頚部の重さで、「これが軽くなるだけでも随分ラク」とお話されています。また、夕方以降に食べ過ぎてしまうクセや、食後についつい甘いものを食べてしまうという傾向もあり、その後に強いだるさが出て動けなくなることもあったようです。むくみも慢性的で、生理前後の不調やホットフラッシュのような熱感、寝汗など、更年期特有の症状もみられていました。
これまでにもジム通いやサウナ、漢方薬、整形外科、カイロプラクティックなど、様々な方法を試されてきましたが、根本的な改善には至っていません。ストレートネックや軽度のヘルニア、逆流性食道炎などの診断もあり、病院では「年齢のせいですね」といった説明を受けることが多かったとのことです。
また、ここ数年は息子さんの進路の問題など、家庭の中でのストレスも重なり、身体だけでなく心の面でも疲労がたまっていたようです。「身体の不調に心が引っ張られている気がする」とおっしゃっていたのが印象的でした。
鍼灸を受ける際には「無理に痛いことはされたくない」「何をされるのかちゃんと説明してもらいたい」「話をしっかり聞いてくれるところがいい」といったご希望があり、当院の「話をしっかり聞いてくれる」「無理のない丁寧な施術が受けられる」という点に安心感を持たれて来院されました。
「気力も体力も、もう少し戻ってきたら、もう一度、以前のように日常を軽やかに楽しめる気がする」と、希望を語ってくださったT・Mさん。根本的な改善を目指し、自分のペースでゆっくり向き合いたいという想いが感じられました。
鍼灸師の見たて
T・Mさんのお話をじっくり伺い、脈やお腹、肌の張り、筋肉の緊張具合、全身の冷えや熱感などを丁寧に診ていく中で見えてきたのは、「自律神経の疲れ」と「気・血・水の巡りの停滞」でした。
お身体は一見元気そうに見えても、内側では疲労が積み重なっており、特に交感神経(緊張モード)が優位になりすぎてリラックスできない状態が続いていました。その影響で、筋肉は常にこわばり、血の巡りも悪くなり、むくみや頭痛、だるさといった症状につながっていたと考えられます。
また、日常的に頑張りすぎる傾向や、ご家族のことを思いすぎてしまう性格が、無意識のうちに心と体を緊張させてしまっていた印象もありました。夕方以降の食べ過ぎや夜間の体のほてりは、陰陽のバランスの乱れや「熱(ねつ)」のこもりにも関係しています。
東洋医学では、このような状態を「気滞(気の滞り)」「水滞(余分な水分の巡りの悪さ)」と捉えます。
まずは、今一番お辛い「頚部・肩のこり」「むくみ」「だるさ」を少しでも楽にしていく局所への施術を行いながら、全身のバランスを整えていく施術(全身施術)を併用して行っていきました。
施術間隔としては、最初の1か月は週に1回、その後は2週間に1回と間隔を空けていき、2~3か月をひとつの目安に、お身体の変化を見ながら計画を立てていきました。
また、毎回の施術ではご本人の気になることや生活での変化も丁寧に聞きながら、「その日の状態に合わせた施術」を心がけました。必要に応じて、自宅でのお灸の場所や、冷え対策、睡眠のとり方についてもアドバイスしています。
施術の経過
初回の施術後、「足が軽くなった」「頭痛が出なかった」とのことで、はじめて身体の内側から整った感覚があったとお話しくださいました。とはいえ、長年にわたる慢性的な不調があったため、初期段階では日によって「今日は少しだるい」「首が重い」といった波も見られました。
3〜5回目あたりまでは、特に生理前の不調やむくみ、首肩のこりがぶり返すことがありましたが、これまでと違ったのは「一度不調になっても回復が早くなった」と感じていただけたことです。
施術を継続する中で、T・Mさんご本人も「今までよりも身体の変化に気づきやすくなった」と感じられ、特に「頸がつらくて何も手につかなかった日が、最近はなくなってきた」との変化が見られました。
季節の変わり目やご家族の出来事などで気分が落ち込む時期には、自律神経が敏感に反応し、むくみや頭部の熱感、寝汗といった症状が再び出ることもありました。しかし、そのたびに施術でリセットされる感覚があり、ご本人の中でも「ここに来ると、ひと呼吸おける」と、気持ちの拠り所になっていったようです。
半年を経過する頃には、むくみは以前ほど気にならなくなり、ジム通いの後の疲れも軽減され、仕事や家事のペースも安定してきました。
1年を通して見ると、気になる症状がゼロになるわけではありませんが、「身体と心の調子が崩れにくくなった」「不調が来ても長引かなくなった」とご本人が実感されています。とくに「以前のようにイライラする前に、落ち着けるようになった」と、自律神経の安定を実感されているのが印象的でした。
何かあったら相談できる場所 50歳女性
※このご感想はあくまで患者様個人のご感想であり、鍼灸施術の効果を保証するものではありません。
長い間、「なんとなく不調」という状態に慣れてしまっていました。病院に行っても異常なし、薬を飲んでも一時的で、結局はまた元に戻る…そんなことの繰り返しでした。
友人に紹介されてこちらの鍼灸院に通うようになり、最初は「鍼って本当に効くのかな?」と半信半疑でした。でも、初めての施術のあと、「あ、足が軽い!」「頭痛がない!」と気づいたとき、「これはちょっと違うかも」と思いました。
施術はとても丁寧で、先生が話をよく聞いてくれるので、安心して身をゆだねられます。身体のことだけじゃなく、心のことまで自然と話してしまって、気づけば泣いていることもありました。受け止めてもらえる安心感が大きかったです。
通い続ける中で、「今日は疲れてるな」とか「こういう時に体調崩しやすいんだな」と、自分のことを以前よりもわかるようになってきた気がします。以前のような強い頭痛や、全身のむくみ、イライラも減って、日常がだいぶラクになりました。
今では「何かあったらここに来ればいい」と思える場所があることで、精神的にもとても助けられています。本当に感謝しています。
鍼灸師より一言
T・Mさんは、身体の痛みや不調だけでなく、日々のストレスやご家族のことなど、長い時間をかけて蓄積された「見えない疲れ」を抱えて来院されました。初めてお話を伺ったとき、症状の多さ以上に「もうどうしたらいいのか分からない」というお言葉が、とても心に残っています。
私たち鍼灸師にできることは、「身体に触れ、心を受けとめること」。T・Mさんが、ご自身の体と丁寧に向き合いながら、少しずつ本来の元気を取り戻されていく姿を、近くで見守ることができたことは、私にとっても大きな学びでした。
症状はすぐには消えないかもしれません。けれど、「不調と上手に付き合える身体と心」を育てていくことは、鍼灸で十分に可能です。
もし今、あなたが「どこへ行っても良くならない」「原因が分からず苦しい」と感じているなら、どうか一度、話を聞かせてください。ひとつひとつ、ほどいていけば、あなた本来の力がきっとまた動き出します。
身体は、静かに助けを求めています。
その声に、耳を傾けてみませんか?
鍼灸師 綿貫雄二